ヨミコのデザイン工房

デザイナー&ブロガーのヨミコが、 WEB制作の事を書いたり書かなかったり。

うつ病バイブル漫画「うつヌケ」レビュー

おはようございます。

さて。いつかはレビューしなきゃあ、と思いつつ、うつの事を文章にするにはうつでない時にしか出来ない、ということで何となくスルーし続けた「うつヌケ」のレビューをします。

こちらは石ノ森章太郎さんのサイボーグ009を愛する私にとってはかなりツボな絵を描かれる田中圭一さんの単行本です。

うつヌケとは

そのタイトル通り、うつから抜けるヒントの詰まった本です。

本、と言っても漫画ですので、文字を追うのがつらいうつ病でも何とか読める。

とは言え本当に気力がないと読めないので、そういう時は少しずつ読みましょうね~

そもそも買った本を全部読まなきゃいけないっていう法律はないんです。

なので、ゆっくり読めばいいです。

色々な人の発症からうつヌケ、までの体験談をまとめています

著者の田中圭一さんを始め、
筋肉少女帯大槻ケンヂさん、
セクシービデオ監督代々木忠さん、
脚本家一色信幸さん、ほかのうつ病発祥~克服するまで、を丹念に描いた作品です。

個人的には「マンガで分かる心療内科」の原作者であり心療内科医のゆうきゆう先生が出て来たり、オタクの神様、コミケの立役者、米澤嘉博さんの弟子の牛島えっさいさんのお話が印象に残ってますが、まあ元々知ってたり、自分の興味がある分野だからかなあ。(笑)

他の登場する方のエピソードもどれも参考になりますよ。

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何よりも、著者である田中圭一さんのインタビューが、とっても良いんですね。

相手を責めない、でも聞くところは聞く。お人柄が偲ばれます。

そして、全体的にうつになったのはあなたのせいじゃない!とネガティヴなのはそういうDNAを持っているから、などうつ病当事者への配慮が行き届いた本です。

編集者の方も作者の方もうつヌケ経験者だ、ということで、ここまでうつ当事者に寄り添った作品は中々ないのではないかなあ、と思います。

個人的に印象に残ったフレーズ

「うつは風邪なんてなまやさしいもんじゃない、うつは心のガンだ!!」

ガン患者の方からしたら、不謹慎かもしれません。

しかし、私はこの一文を読んで、よくぞ言ってくれました!!と思いました。

私はうつ病になってたくさんのものを失いました。

高校を卒業して、18歳~30歳までの間、まともに働けず、年収は100万程度しかありませんでした。

高校は進学校でしたが、無事に大学に進学出来た同級生たちと違い、私は進学出来ませんでした。今でも高卒であることにたまにコンプレックスを感じます…。

支えてくれる両親はいましたが、モテないので結婚して経済的に夫に頼ることも出来ず、本当につらい日々を過ごして来ました。

今でこそ、正社員ですが、まともに働けずにフリーターをしていた頃は、まともに就職している友人たちに合わせる顔がなく、集まりに参加するのもなんだか気が引ける日々でした。

今でも同世代から見たら底辺みたいな収入しかありませんし、本当にうつ病に人生をめちゃくちゃにされました。

もう、これは風邪なんかじゃない、風邪と一緒にしないで、と思う時はあるので、大変励まされる一言ですね。

やっぱりうつヌケには家族や支えてくれる人がいた方が良さげ

これは他の本にも頻繁に書いてあるし、私もそうなんだろうなあ、とは思っているのですが、
独身で家族は両親しかいない私からしたら、ああ…やっぱり…この本にもそう書いてあるのか…と思うばかりです。

そもそも、親以外の誰にも心を開けない人間からしたら、これほど取材されてる本でも、そうなのかあ…ってちょっと何とも言えない気分になります。

はぁ。早く一緒に生きてくれる人を見つけないと…。

絵がかわいい

本編とは関係ない個人的な話ですが(笑)

絵が好きだ~
実は田中圭一さんはうつヌケ以外の連載をたまにお見掛けしていたのですが、石ノ森章太郎さんや手塚治虫さんの流れを汲んだ素晴らしい絵を描く人だなあ、と思っていたんですよね。

恐らくご自身で塗っているであろうカラー原稿もCGを使われて綺麗に描かれているのが素敵なんです。

何よりも50歳を過ぎて漫画を描き続けるなんて素晴らしいですよね…

私はその半分の20代半ばで絵を描くのを辞めてしまったので、情熱が続くのがすごいと思います。

しかもうつ病になったというのに、ずっと漫画を描き続けていらっしゃるのは本当にすごい。

会社員として働きながら漫画も兼業出来るなんて私からしてみたら最早、超人です…

まとめ:うつ病精神障害に悩む人は、是非、元気な時に読んでみよう

この本にはうつから抜け出す考え方のヒントがたくさんあります。

ただ、他のうつ病患者の体験談もありますので、現在うつ病精神障害の当事者の皆さんは、元気がない時には読まない事を強くおすすめします。

人の体験談を見て、鬱鬱とした気持ちが蘇ったり、この人は自分と同じ様な目に遭っているのに乗り越えられたのに比べ、自分は…となってしまう可能性もあります。

なので、当事者の方は調子が良い時に少しずつ読むのが良いと思います。

下記で、途中まで無料で読めるので、こちらで読んで続きが気になるなら購入してみる、というのも良いかもしれません。

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それにしても、うつの人は働けなくなる人も多いから、カラーページもあるし、厚さも充分、内容も濃いのに比較的安価の1,000円に設定されたのかなあ、と思うと田中さんのうつ病仲間への愛を感じずにはいられません。

是非、元気な時に読んでみて下さい。何かしらヒントや希望が見つかると思います。

こちらの本は当事者にも元当事者にも、すべての精神障害に関わる人の一家に一冊!
というくらい私には響きました。
ぜひ(笑)

これからもうつ病漫画家、田中圭一氏のより一層のご活躍を応援したいと思います。

ではまた。


ほしいものリスト公開中!頂いた本は必ずレビューしますので、記事が為になったら、何か送って下さると嬉しく思います。

アニメ版大好きな私が実写版「美女と野獣」を見て来たよー

こんにちは。

という訳で見て来ました。実写版、美女と野獣

www.disney.co.jp

私はアニメ版が大好きなので、DVDも持っていて、もう何回も見てます。

そんなこんななので、ストーリーは知ってる状態での視聴。

今更言うまでもないけどこれはミュージカル映画なのでミュージカル嫌いな人は見ない方がいいよ。
まあ、ディズニー系はほぼミュージカル映画しかないけど…

あ、当然の様に

ネタバレ注意!










実写版美女と野獣の良いところ

  • 映像がとにかく美しい

凍り付いた呪いの城の描写はゴシック好きにはかなりの眼福。
主人公ベルの住む村も、中世辺りのフランスの田舎の村、という雰囲気で童話の様で美しいです。
有名な舞踏会のシーンはとっても力が入ってましたね。ポット夫人役、エマ・トンプソンの歌声も素晴らしく、ロマンチックで素敵なシーンになっています。美女と野獣の代名詞とも言える、ベルの黄色のドレスに金の刺繡が施されるシーンはこのお城は呪いのお城でもあるけど、魔法のお城でもあるんだなあ、という実感が持てる名シーン。
ベルが村の裏庭から周辺を見晴らすシーンは、牧歌的で美しいシーンになっています。
他にも絵画の様に美しいシーンばかりですが、特に印象に残ったシーンを挙げてみました!

  • 一人きりの晩餐会のシーンが圧巻

Be our guest、のシーンはアニメ版で大好きなシーンなのですが、とっても豪華なシーンになっていて、賑やかで良し。
また、ルミエールの中の人、ユアン・マクレガーの素晴らしい歌声が堪能出来るのも実写版ならではの新要素だと思います。

  • 個人的に好きなシーンがちゃんとしてた

城に入って来た村人を家臣たちが追い返すシーンがコミカルで痛快で好きなのですが、実写になってもちゃんとコミカルで痛快だったので良かったと思います。ただ、ここのBGMがBe our guestのアレンジで好きなのですがこれはアニメ版の曲の方が賑やかでよかったですねえ。
狼を追い払う野獣のシーンもとってもカッコ良くなっていてよかったです。

俳優さんは美男美女ばかりなので実写化するとすごいことになる、は実写化あるあるのひとつだと思います。
エマは美人、というイメージでしたが今作ではかわいらしいベルになっていました。個人的にベルは大人っぽいヒロインだと思ってたんだけど、あれはあれで可愛くてよし。
アニメ版の唯一うーん、と思っているところは王子に戻るとあんまカッコ良くなくて、野獣の方がかわいいじゃーん、なところなのですが、今作では王子もちゃんと好きになれるイケメンなのでそこは良い。
そしてガストンはイケメン。基本アニメ版よりも更にワルイヤツになっているガストンなのですが、ワルイヤツだけど、イケメンすなあ、と何度も思った。
見る人によっては王子よりガストンの方が好みなんですけど!?ってなりそうです。(笑)

  • 追加された曲はどれも良い曲

ベルを帰したあとの野獣の心情を歌い上げた曲、ベルのお父さんの曲、ベルのソロ、小さい頃の王子のソロ、たぶん他にもあったけど、追加になった曲が多数ありました。
どれも名曲で既存曲に違和感なく溶け込んでましたね。
特に野獣のソロはエンドロールでも使われていましたがかなりの名曲です。あの為にサントラを買ってもいいくらいだ。
好き。

  • 野獣とベルの過去のエピソードの追加

主人公二人に過去のエピソードが追加され、感情移入がよりし易くなりました。また、それによって二人の共通点も生まれ、絆が深まりました。これは、アニメ版の設定を更に深めただけなので余計な追加、という印象は持ちませんでした。良い補完だったと思います!

  • あの人の描写が追加に

原作では影が薄かったある人の描写が追加になっています。ちょっとした種明かしとしてクライマックスで明かされます。これも良い追加。

  • 残酷描写がマイルドになっていた

私は普段殺伐としたシーンも嫌いではないですが、この映画には無くて良いと思います。
全体的に誰かが傷付いたりするシーンがマイルドになっていたのは、親子で見る時などにとても良いと思いました。
ディズニーらしい。

  • 男性キャラも活躍するのが、イイね!

最近TVで見たアナ雪や昨年見たマレフィセントはそれぞれ、姉と妹、魔女マレフィセントとオーロラ姫、という所謂百合もの…というか女性同士の絆を描いた作品で、いや、王子(と相手役)あんまり活躍してないやーん!ってなったのですが、本作は野獣も戦うのでそこがいい。
時代の流れかディズニーヒロインはどんどん強い女性が増えていますが、男性キャラの活躍も見たいので、その点、本作はとっても良いです。

  • エンドロールがカッコイイ

家臣たちは元の姿での出番が少なく、ほぼ吹き替え(とモーションキャプチャーもかな?たぶん)での出演ですが、エンドロールでは人間の姿に戻ったところが出て来ます。この演出がとってもカッコイイです!是非エンドロールおしまいまで見て下さい。素敵な俳優さんばかりなので、中の人のFANの方は一見の価値あり。

実写版びじょやじゅのちょっとなあ、なところ

  • アニメ版のお気に入りのシーンがちょっと残念になっていた

具体的には
「お城の呪いが解けるシーン」

「野獣がベルに図書室をプレゼントするシーン」
です。

呪いの解け方がちょっと分かりづらかったので、もうちょっと尺を割いても良かったと思います。アニメ版では禍々しいお城の装飾のガーゴイルが、天使像に変わる、という描写がありました。
今回も似たシーンはあったのですが今一つインパクトに欠けました。

図書室のシーンは、アニメ版だと野獣が目を閉じたベルの手を引いて、ベルが目を開けると壁一面の本があり、読書好きのベルが驚愕、のち歓喜、というシーンです。
ここのシーンは私的に
「野獣からベルへの初めてのプレゼント」
「わくわくしながらベルの手を引く野獣たんのサプライズ萌え」
「ベルのドキドキ感と図書室を目にした時の感動」
など二人の関係性においてとっても大事なシーンだと思うんですが、本作では話の流れで図書室?ああ、使っていいよ、風に流されていてしまったのが残念でした。

あと、ガストンの出撃シーンもアニメ版の方が迫力があったなあ。これは、アニメ版と違い、実写だと演じている俳優さんにあまり悪印象がつくのは良くない、という事と、全体的に穏やかでないシーンの描写が抑えられているため、仕方ないのでしょうけどね。

他にもアニメではこうだったなあ、っていうシーンは多数ありましたが、個人的には気にならない程度の改変でした。

  • フランスの話なのに…

特に白人賛美とか人種差別ではないですが、フランスの話なのに有色人種のキャストを一部起用しているため、いちいちツッコんでしまいます。
しかも昔のフランスなので、そんなに外国人に寛容であったとは思えず。
もうフランス人が英語を話すの自体はいい加減慣れたんですけど、いやここフランスだよね?この人どこの国の人?って我に返っちゃうのはどうなのよーと思いました。
SWもそんなかんじだったし、ディズニーの色んな国の人を起用しよう!という姿勢自体は支持しますけどね。
無理矢理でいいから、マダムは異国から来た素晴らしい歌手なんだ、みたいな描写があればちょっと説得力があったかも。
まあ、慣れろってだけの話なんですけどねえ…

  • 村人とお城のみんなの関係性はちょっと唐突

村人たちはお城のみんなのかつての家族だった、という設定が追加になっていて、人間に戻った時に再会する、という流れなのですが、ちょっと分かりにくかったです。結局大団円なので良いのですが、やや大味、とってつけた感は否めず…

まとめ:アニメ版好きでも見る価値はあり!

正直、ストーリー知ってるし、メディアの「泣きました!」コメントはほんとやめて欲しいわ…って思ってるマンですが、
うっかりちょっと泣きました。

演出や映像美、お馴染みの曲がスクリーンの大画面で見られるのも、中々良いものでしたよー。

アニメ版大好きなので、ちょっと辛口な目で見てしまう部分もありましたが、それを差っ引いても全体的には見て良かった!!と断言出来る作品でした。

恐らくロングランになるとは思いますが、劇場で公開されている内に、是非劇場でどうぞ!

今回は字幕版での視聴でしたが、元々ミュージカル好きな事もあり、山崎育三郎さんを始め、かなり豪華キャストの吹き替え版も見たいのでまた行くかも。

ではまた。